営業部

赤い羽織の男

公園に行ったら駐車場の程なく先に廃屋がありました。それも結構年季の入った感じの。
2階建てで窓ガラスもなくなってただの四角い穴が沢山空いていて、コンクリートだけ残っているような。火事に遭ったっぽい外観でした。
すごいねーなんてみんなで眺めていたら2階の窓に人影が。何か着物?赤っぽい羽織を普通の服の上から纏った中年の男性で、煙草を吸っていました。
何故こんな所にいるのかとか考えていたらふと目があって、こちらに向かってきました。
一瞬体が固まって、すぐ逃げよう!とみんなを促し車へ走ります。
男性が追いかけてきて、駐車場を見回していました。でもまだこちらは発見されていません。
見つかったらどうなるのか?と恐怖に苛まれながら車に乗り、隠れながら証拠になるかとスマホで写真を撮り、そのままひとまず警察へ向かって車を走らせました。

大通りに出て、飛ばし気味の運転手の後ろの席で一番近くの警察署はどこかと検索するのですが、何故か出てこない。
「福島県・警察」「福島市・警察署」「福島市・自首」とかいろいろなワードで検索してるのですが、それらしき情報は一切ヒットせず…
もしかしてここは福島ではないのか?とか、電話した方が早いのでは?と思いながら安心できる場所が見つからないことへの焦燥と男に追い付かれた時の恐怖から逃げるべく、ひたすら調べてい
たところで目が覚めました。
起きた途端はまだ夢が続いていて絶望感に溢れた起床となりました。「ああ探さなきゃ!でも無い!逃げなきゃ!」みたいな。
起きてから考えると検索して出てこない警察の時点で夢だと分かるのですが…夢でよかった…

男は、以前にそこに住んでいた少女を手にかけその子が着ていた着物を盗んで羽織っていたのでしょう。住居には火をつけて。
久しぶりに様子を見に戻ってきたのか、そこに住んでいたのかは分かりませんが、そこを目撃されたので口封じに追いかけてきたと…
それか、現場に戻ってきたら全焼したはずなのに何故かきれいな状態の着物が落ちていて、なんとなく羽織ったとか。

着物となると時代が違うような気がするのですが…そこは外界から隔絶された村だったとか…?
はっ、昔ながらの日本の風習が生きている土地で、もしかすると男も村の関係者だったのかもしれません。娘家族とも顔見知りだったかも。
実は不本意にあやめてしまった少女への想いを巡らせていたのかも?彼女を助ける術はそれしかなかったのかも…?
でもそれなら見られても支障はないはずが…何故追いかけてきたんだ…

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