営業部

世界の終末と少女の溜息

カラス二頭がスズメを追いかけていました
狭所に逃げ込んだスズメを見て上と下と双方向から目を光らせるカラス
楽しそうなカラス。反面、スズメはかわいそうと思いました。
おそらく追い詰められてつつかれて、動かなくなるかその手前まで弄ばれるのだなと
究極の暇つぶしか、救われる解釈なら本気の狩り

しかし見方を変えると、

夫婦カラスが雛に与えようと思っていた餌をスズメに横取りされてしまった=ひもじい中やっと捕まえた餌だったので雛は死んでしまった

とか

(以下長文)

スズメは実は生前、カラスの里に毒入り団子を故意に持ち帰り全滅させた裏切りカラスが転生した存在で、それに気づいた2羽の兄弟カラスが「あの過ちを二度と繰り返してはならぬ」と抹殺しにかかっている。
裏切りカラスは過去に恋人を村の古くからの習わしで理不尽に奪われてこんな村あってはならないという憎悪から村を全滅させた訳なのですけれど、ちなみに村が静まり返ったのを確認して自害したんですけど、その薄れ行く意識の中で一つの巣からもぞもぞと這い出る2羽の兄弟カラスがいた事を認識する。その兄弟に関してはまあまだ子供だったので特に何の感情も持たず終わったのですけれど、兄弟カラスはその後偶然里にやってきたワシに見つかって、それも捕食されようとしていたところを実は情の深いワシが里の様子を見て事情を察してワシの巣に持ち帰り育てられるという。ワシはファザーです。
大きくなった兄弟は過去の惨状を知り、記憶の中にあったカラスを憎む。習わしについてはまだ知りません。ある日ワシと狩に出かけた際不気味なフクロウの占い師に会うのですが、そこで「災厄は弱者の姿を借りて舞い戻る」と不吉な言葉を告げられる。
後日兄弟は里へ両親の墓参りに出向くわけなのですが、そこに一匹のスズメを見る。同じく恋人の墓参りに来た直後だったのですが、まだ形を有する里に対して「ざまぁねえな。さっさと朽ち果てろ」と暴言を吐いたタイミングを見られてしまう。占い師の言葉とその光景が繋がった兄弟は、心に暗い火を灯らせてスズメの後を追う・・・・
しかし後に、兄弟もスズメが事を起こした理由を知る。それがスズメに止めを指す時なら、全てを語ったスズメはこれまた「ざまぁねえな」と言い残して息を引き取る。兄カラスは自分たちがこれまでしてきた事と、自身の無知の愚かさと、スズメを殺せなかった事と、里・両親への想いとかがめちゃくちゃになって頭もめちゃくちゃになる。責任感の塊ですから。(知るか)
ちなみに習わしは、儀式的で凄惨で理不尽です。里のみんなはそれをしているから平穏が保たれていると思い込んでいる。対象者は7年に1匹村の若者から選ばれる。表向きには完全無作為となってますが実際は上層の意向によって選ばれている。もはや村の為は大義名分で自分が甘い汁を吸うため。
兄弟の両親がそれに参加していたのかは不明。隅で体を寄せて震えていただけかも。興味本位で参加していたかも。
残された弟カラスは、やりきれない気持ちでワシの巣へ戻っている。こちらも様々な想いが胸の内で膨れ上がり、それが未来への希望とかを上回った瞬間、目を閉じ羽ばたくのをやめる。
ワシはまた1匹になった。
とか、

最後の最後にその一部始終を神視点で眺めていた少女が諦観の溜息を漏らしておわり

色々な可能性が見えてきます。
視点変更重要です。

ちなみにこの物語の中で1番好きなのは揺るがぬ少女を除けば、ワシです。
生き残るからとかでなく、色々な経験を経て辛い思いをしながら自分は尚生を重ねていくというかわいそうなところがかわいいです。
ワシの過去編とかも興味深いですね。なんで1匹でいるのかとか、きっと重たい。
フクロウの占い師なんかも引き金ひくという意味では重要鳥物ですけど、引っ掻き回しよって・・・・でもそんな甚大な被害を齎してまでスズメに生まれ変わるカラスは何を持っていたのか。
そのへんの意地悪はきっと少女のいたずらです。エンタメを求めていたから。

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